神戸の街を見下ろす地で眠るウイスキー【六甲山蒸溜所】

六甲山蒸留所

美しい場所でした。とても。2021年7月、六甲山頂にオープンしたばかりの「六甲山蒸留所」へ。

神戸へ足を運ぶのはもう、10余年ぶり。大阪から電車、バスを乗り継ぎレトロな六甲ケーブルで山頂まで向かいます。

六甲ケーブル

画面で見る以上の傾斜に少々おののきつつ、乗車。発車のアナウンスと揺れにあわせて唐突に流れ出す愉快なBGM…おぉぅ、なんだこの思いがけないアトラクション感は。

六甲ケーブル
窓口で六甲山蒸留所へ行くことを伝えると、お得なフリーパスを案内してくださいます

ゴトン、ガタンと独特のリズムでぐいぐいと急斜面を上っていくケーブルカー。気付けばずぅっと下に神戸の街並みと大阪湾が…。線路のすぐ脇には山頂から水の流れがちょろちょろと続いている。あぁきっと、ここも水に恵まれている場所。

六甲ケーブル
六甲ケーブル

ケーブルカー山頂からはさらにバスでひと駅。そこから歩いて数分で蒸溜所なわけですが…「これから六甲山蒸溜所に行くぞ!」という方にはちょこっとアドバイス。

バスを降りて、道なりに進んで横断歩道を渡ったら”ビジターセンター”の看板に向かって坂を上って行ってね!そのまま道路沿いに歩いても「あれ…あれあれ、なんだかおかしいぞ」ってなるだけだから!きれいなレストランの、とってもきれいで親切なスタッフさんに道を尋ねることになるから!坂道上ってひぃひぃ言うことになるからー(注:Googleマップすら読めない方向音痴の運動不足に限る)。

六甲山蒸溜所
通常であればバス停から徒歩数分で美しい蒸溜所が姿を現します

誌面では拝見していたけれど、本当に別荘のような佇まい。やさしい笑顔のスタッフさんに招かれて中へ足を運ぶとこれがまた…美しい。

六甲山蒸溜所

高い天井にガラス張りの開放感あふれるフロア。ガラスのすぐ向こうでは、ぴかぴかに光るポットスチルが来館者を出迎えてくれる。

ドイツ・ホルスタイン社製のポットスチルはこの蒸溜所で唯一のもの。まだ稼働したばかりのその姿は、堂々と、それでいてどこか初々しく可愛らしさすら感じられる。

六甲山蒸溜所

ポットスチルの撮影はガラス越しのみ。ガラス内の見学時はシューズカバーとヘアキャップを着用します(ロングヘアの方はまとめておいたほうがラクかも?)。

スタッフさんの説明の、なんともわかりやすいこと…何度本を読んでも、自分で文字に起こしても、やはり体験に勝るものなし。そしてやっぱり、アルコール発酵っておもろいものだなぁと実感させられる。

限られたスペース故の、唯一のポットスチル。その一基での初留、再留についてのお話がなんとも興味深かった。この子ひとりでがんばってるんだよ。なんともえらいねぇ、かわいいねぇ。

六甲山蒸溜所

エレベーターでウェアハウスとなる2階へ。並ぶのはおよそ40本のウイスキー樽。ちょうど見学翌日には新しい樽が入り、全部で60本近くに増えるそう。独特の雰囲気に感嘆の声をあげていると、スタッフの方が正面の窓を開けてくださった。

六甲山蒸留所

さっきまでケーブルカーで眺めていた、それよりもずっと高い視点から見渡す神戸の街並み。「なんと…いいところで寝かせてもらってるのねぇ」と思わず声が漏れる。陽が射していても風は冷たい。聞くと、やはり街中と蒸溜所ではかなりの温度差があるそう。

ちなみにこの蒸溜所、もとは製薬会社の保養所だったとか。しかも樽が眠るこのスペース、本来は浴場だったというではないですか。いわれてみれば、男湯と女湯を仕切る壁がしっかりと現存。外観内装含め、本当に工夫が凝らされた場所だなぁと感激してしまう。

六甲山蒸溜所

ボトリング設備まで拝見させていただき、シューズカバーとヘアキャップを外したらいよいよ、お楽しみのテイスティングタイム。

現在、六甲山蒸溜所でリリースしている2種のボトルは、スコットランドから輸入したモルト原酒を六甲山の水で調整したもの。左がノンピート、右がピーテッドだったかな。初めていただいたけど、とっても口当たりが優しく、美味しい。

そう言うとスタッフの方が「まだうちのウイスキーではないので、なんとも複雑なところですが」と恐縮していらっしゃったけれど、六甲の水の美味しさはしっかりと伝わる味わいだと思う。

一番右のグラスに入った透明な液体は、正真正銘あのポットスチル氏が蒸溜した「THE FIRST」。これがあと3年、5年、10年…時を経てどんな風に変化するのか、本当に楽しみ。

年月の経過を楽しみに思えるって、素敵なことだな。

六甲山

最後のおまけは、バス停にいたもふもっふー。(すぐそばの池、凍ってたのよ。なのにこのあったかそうなお姿…)

帰り際まで見送ってくださったスタッフさま。ありがとうございました。また足を運ぶ日を楽しみに…。

きっとその頃は、日本のあちこちから、海外から…ケーブルカーに乗って蒸溜所を目指す人がやって来るのかもしれない。

六甲山蒸溜所(神戸市灘区六甲山町南六甲1034-229)
Rokkosan Distillery
六甲の水が生み出すやわらかで優しく、甘美なウイスキー。
2022年2月現在、蒸留所見学は毎週日曜日のみの受付。

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